皆さんこんにちは!
お気楽菜彩なんやかや、更新担当の中西です。
さて今回は
~コース設計~
目次
0|基本哲学:軽→重、塩→タレ→塩、香りで締める
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立ち上がりは “繊細×短尺”で舌を整える
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中盤はタレ系で甘味と厚みを作り、脂のピークを一度迎える
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終盤は香りと余韻で軽く着地(柑橘・山椒・香味油)
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12串で約420–540g(1串35–45g目安)。提供間隔4–5分、総時間75–90分。
1|全12串・標準フロー(塩7|タレ5)
串名[味付け|目安g|狙い]— “焼きメモ”
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さび焼き(ささみ)[塩+わさび|35g|口ならし]
近火で表面を決め→遠火で**内温58–60℃**手前、1分休ませて供す。 -
砂肝[塩|40g|軽い歯応えで覚醒]
強火短時間。塩0.9%、脂泡が細かく変わる瞬間で返し。 -
ねぎま[塩薄|45g|水分と甘みの橋渡し]
葱の蒸気で保湿。仕上げに柚子皮ひと擦りで香りを跳ね上げる。 -
ハツ[塩|40g|鉄分の香りでリズムに起伏]
近火→遠火。中心は薄桃色を残す。胡椒は控えめ。 -
つくね[タレ|45g|初のタレで余韻を付与]
タレは70–75℃保温で艶出し。卵黄添えは“味の階段”が跳ねる。 -
皮パリ[塩|40g|食感アクセントで中盤へ]
弱遠火で脂を抜き→近火で香ばしさ。塩は振り増しで二段。
— 箸休め①:大根おろし・酢キャベツ・出汁割り(30–60秒) -
レバー[タレ|40g|甘香で中盤のピーク1]
漬けは短く、表面だけタレ絡め。内温は上げすぎない。山椒微量。 -
手羽先[塩+柚子胡椒|50g|脂のピーク2(旨脂)]
遠火長時間で骨際まで。柑橘でキレを。 -
もも肉[タレ|45g|“王道の甘辛”で満足度を確定]
タレ二度漬け→近火で糖の焦げ目を点で作る。
— 箸休め②:香の物・鶏清湯ひと口(30–60秒) -
せせり[柚子塩|40g|立ち上がる香りで軽く持ち上げる]
噛み戻りのある部位で再度の食欲スイッチ。 -
ぼんじり[塩 or 黒胡椒|40g|キレのある脂で余韻づくり]
油滴が透明→黄金に変わるタイミングで。胡椒は片面だけ。 -
ちょうちん/そり(在庫で選択)[タレ|40–45g|記憶点]
たまごの濃厚さ or そりの香味脂で最後の一口の物語を作る。
— 〆:鶏出汁茶漬け or スープ(任意・小量)
※内臓が苦手なお客さまには**#4ハツ→むね柚子胡椒**、#7レバー→つくねチーズに差し替え。
※飲みが早い卓には**#6と#10**の間隔を短くし、“脂の谷”を作らない。
2|火床と塩梅の運用
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近火:表面を決める“立ち上げ”ゾーン(ささみ開始、つくね仕上げ)
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遠火:芯入れ・脱脂ゾーン(皮・手羽・ぼんじり)
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休ませ:網上の“影”で1分以内(肉汁の再分配)
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下味塩:0.9–1.2%(肉重量比)。脂が多いほど薄め→焼き上がりで追い塩。
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タレ:還元し過ぎない温度(70–75℃)で保温・煮沸ローテを厳守。
3|ペアリングの指針
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#1–3(繊細):生酛純米の冷や/軽めのソーダ割り
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#4–5(香り・初タレ):純米吟醸の常温 or ハイボール
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#6–9(脂と甘辛のピーク):ビール→ハイボール→濃いめの茶割り
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#10–12(香りで着地):柑橘サワー/山椒ハイ/微発泡の日本酒
4|季節アレンジ
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春:#3ねぎま→葉玉ねぎ焼き/#12→筍つくね
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夏:#8手羽→胸の昆布〆・炙り/箸休めに酢橘おろし
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秋:#11ぼんじり→銀杏ベーコン/タレに新生姜シロップで香り足し
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冬:#1ささみ→さび焼き+温出汁/〆は鶏スープ雑炊一口
5|運用ミニSOP
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串重量:赤身35–40g、脂・手羽40–50gで誤差±3g以内
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提供間隔:4–5分/卓。炉前常時3串先行で渋滞回避
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アレルギー・苦手:入店時に内臓・辛味・柑橘を確認、#4/#7/#12の差替えリストを席番に紐づけ
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タレ衛生:営業前後完全煮沸→漉し→比重・糖度チェック、継ぎ足しログ
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塩管理:岩塩(立ち上がり)+海塩(仕上げ)の二段使いをラベル分け
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記録:焼成時間・返し回数・お客の反応を日報で標準化(KPI化)
6|トラブル時のリカバリー
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提供が詰まる:#6皮→**冷菜(鶏わさ)**に差し替えで1分稼ぐ
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脂重で飽き気味:#9の前に大根おろし+ポン酢、#11を柚子塩に変更
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飲みが早い:#5つくねを早出し、#8手羽を遅らせて脂の山を一つに集約
7|仕込みの“勝ち筋”チェックリスト
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ささみ:**中心58–60℃**で止める練習(温度計必携)
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つくね:胸ベースに皮10%・軟骨5%・塩1.3%(低温で粘りを出す)
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タレ:比重1.22±0.01/糖度34–36°Bxで艶とキレのバランス
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皮:遠火12–15分で脱脂→近火30秒で香りづけ
8|12串は“物語”。起承転結で記憶に残す
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起:ささみ・砂肝・ねぎまで輪郭を描く
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承:ハツ→つくね→皮でリズムとアクセント
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転:レバー→手羽→ももで甘香と脂のピーク
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結:せせり→ぼんじり→ちょうちん/そりで香り高く着地
箸休めと出汁を挟み、塩→タレ→塩の呼吸で飽きを作らない。
“もう一串食べたい”で終わらせるのが、最高のコース設計です。